「てんかん」は長期間の治療を要しますが、本人の心がけと周囲の理解・協力があれば、普通の生活を送ることができます。特に合併症のない「てんかん」の場合、発作をコントロールさえできれば、日常生活にはほとんど支障はありません。家庭だけではなく、病院や学校、職場なども連携してサポートしていくことが大事です。
家庭でのてんかんの理解
家族全員が「てんかん」の正しい知識を持って、患者本人が規則正しい生活を送ることができるように協力しましょう。例えば、テレビを見たり、ゲームをしたりする時間を決めておく、お風呂は誰かと入るか、これから入ることを必ず誰かに伝えるというように家族間でのルールが決めると良いかもしれません。
小さな子供の場合は、保護者が保育園(または幼稚園)や学校に、注意点や「てんかん発作」の症状などを伝えておく必要があります。また、医師と薬や生活上の注意点について話し合うなどして、家族も日頃から積極的に本人のサポートに努めましょう。
できるだけ1人にさせない
頻繁に「てんかん」の発作が起こるようなときは、家にいるときでも、できるだけ本人を1人にしないようにしましょう。1人で留守番をして、家族全員が出かけてしまうということがないようにしてください。一緒に出かけるか、誰か家に残ったほうが、本人も家族も安心ではないでしょうか。

病院でのてんかん治療
病院では、適切な「てんかん」の診断や薬選び・調整をして、家族に症状の説明をしたり、治療内容や注意すべきことを指導したりします。そのほか、合併症や薬による副作用など、色々な相談にも乗ってくれます。また、もし必要があれば、本人と家族だけではなく、学校や職場などにも「てんかん」に関する情報を提供します。
精神面でのケアも
「てんかん」の専門医にかかっている人も多いと思いますが、診断の正確さはもちろん、精神面のケアも必要になります。病院の場合も、「てんかん科」だけではなく、精神科、脳神経外科、小児科などいくつかの診療科が連携し、治療・ケアしていかなければなりません。また、精神面のケアということで言うと、患者本人に限らず、その家族にも必要な場合があります。

学校・職場
発作はあまり起きないし、もし起きても意識を失って倒れるようなことはないから、学校や職場には「てんかん」を持っていることを隠そうとする人がいます。けれど、万が一のことを考えて、きちんと伝えておくべきです。学校や職場全体で、どんな発作が起こるのか、どのように対処すれば良いのかをしっかりと覚えましょう。違うクラスの先生や違う部署の社員でも、いざというときに、ちゃんと対処できることが望ましいです。
学校で
学校職員だけではなく、子供たちにも、どんな発作が起こるのかを説明し、「てんかん」について正しく理解させましょう。発作が起きたときは先生が適切に対応し、発作中の様子を家庭に連絡します。また、本人が普通に楽しく学校生活を送れるように、授業の遅れやほかの子供たちの先入観などをなくす工夫が必要になります。そのほか、学校行事への参加は、発作時に命に関わるような場合でなければ、制限する必要はありません。修学旅行や林間学校などは、参加できるかどうかの証明書が必要な場合があるので、その際は医師に相談しましょう。
職場で
仕事を始めるときは隠していても、実際に職場で「てんかん発作」が起きてしまうと、隠しようがなくなってしまいます。発作発生時、周囲に驚かれたり、仕事に支障をきたさないためにも、自分の病気や発作の頻度、どんな状態になるのかなどを上司や同僚にきちんと説明しましょう。もし、皆に伝えることがためらわれるのであれば、親しい同僚だけにでも伝えておくと、色々サポートしてくれることもあるので、安心です。職場によっては、就業時間を短縮するなどの措置をとってくれる場合もあります。

投稿者プロフィール

- てんかんを研究している「ハリス・エドワード」が、てんかんという病気について教えます。てんかんは珍しい病気ではなく年々患者さんが増えている病気でもあります。脳に関係するてんかんをまずは知ることが大切です。
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