「てんかん」では多くの場合、薬を用いた治療が行われます。発作のタイプによって、必要となる治療薬は異なります。「てんかん」は、慢性的な病気なので、治療期間も長くなります。薬と服用方法について正しい知識を身に付け、効果的な治療が受けられるように心がけましょう。
「抗てんかん薬」とは
目次
「てんかん」の治療に使われる薬を「抗てんかん薬」と言います。効果的な「抗てんかん薬」が色々ありますが、さらに高い効果を発揮する新しいものの研究・開発が進められています。
抗てんかん薬の主な作用
「抗てんかん薬」の主な作用としては、“興奮系神経細胞の抑制”と“抑制系神経細胞の増強”が挙げられます。具体的な働きを見てみましょう。
目的 |
働き・効果 |
---|---|
興奮系神経細胞の抑制 |
脳の興奮の原因となるナトリウムイオンや、カルシウムイオンの働きを抑制して、過剰興奮を防ぎます。 |
抑制系神経細胞の増強 |
GABA(ギャバ)と呼ばれる興奮を抑制する物質の働きを強めて、「てんかん」の症状を軽減します。 |

抗てんかん薬の服用にあたって
「てんかん」の治療の際に気をつけなければいけないことは、毎日規則正しく服用して、自分勝手に服薬を中止しないことです。「今日飲んだから明日は飲まない」とか「昨日飲み忘れたから、今日はいつもより多めに飲む」などということをしてはいけません。もちろん、「しばらく発作が出ていないから、当分服用を止めよう」と勝手な判断をするのもダメです。
また、子供が薬を飲まなくて困っている人もいるでしょう。いくら子供とはいえ、薬が必要な理由をきちんと説明すれば分かります。もし粉薬などで飲みにくい場合は、水や食べ物に混ぜてみましょう。ただ、混ぜてはいけない食べ物や、混ぜると余計にまずくなるものもあるので、注意が必要です。
抗てんかん薬の飲み合わせ
「抗てんかん薬」を何種類か飲んでいるときは、薬の吸収や代謝に影響することがあります。薬が互いに作用しあうことで、薬の効果が弱まったり、強くなりすぎたりすることが考えられます。このほか、風邪薬など抗てんかん薬以外の薬も、同じようなことが起こる可能性があります。なので、飲み合わせについては、医師または薬剤師にあらかじめ聞いておきましょう。
薬の量
薬の量は、発作の頻度だけではなく、血中薬物濃度を測定することで決められます。血中薬物濃度とは、血液中の薬の濃度を知るための指数で、「てんかん」に有効な量、副作用が出やすい濃度を知るための目安になります。同じ量を飲んでも、年齢や性別、体重、服薬回数などによっても、濃度は異なります。

抗てんかん薬の副作用について
「てんかん」の場合、一般的に長期の薬物治療が必要になります。そのため、薬の副作用については、十分に理解しておかなければなりません。また、服用している薬の種類や、その人の体質によって、様々な副作用が出ることがあります。有効性だけではなく、服薬したことで、好ましくない結果になる可能性があることも覚えておきましょう。
「抗てんかん薬」の副作用は、その原因によって、いくつかのタイプに分けられます。
薬に対してアレルギー反応が出る場合
発疹やかゆみなどの症状は、薬に対してのアレルギー反応によるものです。こういった副作用が見られたときは、直ちに服薬を中止しましょう。
薬の量が多すぎる場合
眠気やふらつきなどの症状は、薬の量が多い場合によく見られます。この副作用は、種類に関係なく、ほとんどの薬で認められます。医師に相談し、薬の量を調節することで、症状が和らぎます。
長期間の服薬で体に影響が出る場合
歯肉増殖や多毛・脱毛などの症状は、長期間薬を服用していることによるものです。また、検査時には、肝臓機能の低下や血液中の白血球減少が見られることがあります。体に何らかの異常を感じたときは、早めに病院に行きましょう。

投稿者プロフィール

- てんかんを研究している「ハリス・エドワード」が、てんかんという病気について教えます。てんかんは珍しい病気ではなく年々患者さんが増えている病気でもあります。脳に関係するてんかんをまずは知ることが大切です。
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