「てんかん」は、知的障害が合併するとよく言われますが、そのほかにも身体的、精神的な障害が出ることもあります。このため、「てんかん」の症状だけではなく、こういった障害を併せ持つことで、日常生活で様々な不便に直面することも多いです。その場合に、「てんかん」の治療の一環として、リハビリテーションが必要になります。
てんかんのリハビリテーションとは
目次
リハビリテーションとは、病気やけがなどで心身に様々な障害を持った人に対し、機能回復訓練を行うだけではなく、より良い生活を送ることができるように、サポートしていくことです。そのために、医師をはじめ、理学療法士、作業療法士、心理療法士など、色々な分野のスタッフが協力しあう必要があります。
もし理解能力があれば本人にはもちろん、家族や保護者などにも治療方針の説明が行われ、体の状態を見ながら、必要に応じて適切なアドバイス・指導をしていきます。
リハビリテーションの重要性
「てんかん」では、発作をコントロールするための治療が主に行われますが、必要な治療はそれだけではありません。処方された薬を服用し、発作の発生をコントロールする以外に、「てんかん」を持ったことで生じた障害を少しでも解消し、日常生活を送りやすくすることがリハビリテーションの役割です。特に「てんかん」の場合は、治療に時間がかかるため、その間にリハビリテーションを受けることが効果的とされています。
てんかん障害が招く問題
「てんかん」は、様々な障害を引き起こします。冒頭でも述べたように、合併症として知的、身体的、精神的な障害が起こる場合もあります。これらの障害が招く問題も多いです。
個人的レベル
まず、個人的レベルとして、日常生活に支障が出たり、周囲とのコミュニケーション力が低下するといった問題が挙げられます。毎日の生活の中で、不便と思うことが積み重なっていくと、そのことがストレスとなり、「てんかん」の症状の悪化につながるということにもなりかねません。
社会的レベル
運転免許の制限や就職に関する問題、結婚上の問題など、様々な社会的不利が生じる場合があります。特に成人の場合、こういった問題に直面し、悩む人も多いでしょう。社会生活上の選択肢を増やすためにも、リハビリテーションは大きな意味を持ちます。
状態に合わせたリハビリテーション
身体的、精神的と、その人の状態に合わせたリハビリテーションを続けて行っていくことが重要です。
機能・形態障害に対して
それぞれの障害そのものに対するリハビリテーションが行われます。知的障害では、早期に療育・教育プログラムを開始しなければいけませんし、身体障害に対しては、基本的な動作能力の回復を目的とした機能訓練が行われます。さらに、精神障害では向精神薬を使った薬物療法やカウンセリングなどをメインに行います。
能力・適応障害に対して
能力・適応障害に対するリハビリテーションは、機能訓練などと重なる部分が多くあります。そのほか、生活技能訓練や社会技能訓練などの作業療法が行われます。残された身体機能・能力などを最大限に生かして、日常生活をできるようにする訓練、学習における基礎能力のアップ、対人関係能力の改善を行います。
社会的不利に対して
社会的不利に関しても、社会技能訓練や職業訓練を続けるなど、本人の努力の積み重ねで、様々な状況が少しずつ改善されていくでしょう。それに加えて、「てんかん」という病気とそれに伴う合併症のことを理解し、受け入れていくよう、社会全体でサポート体制を整えていかなければなりません。
投稿者プロフィール

- てんかんを研究している「ハリス・エドワード」が、てんかんという病気について教えます。てんかんは珍しい病気ではなく年々患者さんが増えている病気でもあります。脳に関係するてんかんをまずは知ることが大切です。
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